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ーきゅうかくうしお的醸すin城崎ー 滞在日記【6】
きゅうかくうしお・辻󠄀本知彦
2022.12.2
パフォーマンスユニット「きゅうかくうしお」のメンバー9名が、2022年1月23日~2月5日城崎国際アートセンターに滞在し、リサーチと新作のクリエーションを行ないました。作品のテーマは「醸す」。
自由につくることに集団として向き合い、各メンバーの視点で作品化された「醸す」が空間内で交わる新作「KU的醸すin城崎」は、観客が各作品を自由に鑑賞・体験できる形式をとり、様々な「醸す」についての考察を体験者に促すインスタレーション作品です。
2022年2月4日(金)に予定されていた試演会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となってしまいました。この連続エッセイでは、滞在制作の様子や城崎で感じたことを、メンバーのうち石橋さん、河内さん、辻󠄀本さん、松澤さん、矢野さんの5人にそれぞれの視点で綴っていただきます。
最後回となる滞在日記【6】は、辻󠄀本知彦さんによるエッセイです。
自由につくることに集団として向き合い、各メンバーの視点で作品化された「醸す」が空間内で交わる新作「KU的醸すin城崎」は、観客が各作品を自由に鑑賞・体験できる形式をとり、様々な「醸す」についての考察を体験者に促すインスタレーション作品です。
2022年2月4日(金)に予定されていた試演会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となってしまいました。この連続エッセイでは、滞在制作の様子や城崎で感じたことを、メンバーのうち石橋さん、河内さん、辻󠄀本さん、松澤さん、矢野さんの5人にそれぞれの視点で綴っていただきます。
最後回となる滞在日記【6】は、辻󠄀本知彦さんによるエッセイです。
2022年1月24日に城崎温泉駅からアートセンターに入る前に、カニ饅頭やら普段食べないソフトクリームを食べてワークに入ることにした。
東京とは違う時間の流れのなか何が出来るのだろうかと、ここに来るまでの道のりが自分にどう影響を及ぼすかを感じながら、想像しながら、創作過程に入る。
またここまでの距離というものが時間がかかればかかるほど、何か大きなものを掴みたいと願うもの。
ちょうど私は舞台「千と千尋の神隠し」のリハーサルの合間にこのレジデンスに参加していて、他のメンバーとは一日遅れて城崎に入った。初日、みんなは現地の人と交流をしていたらしい。
2022年1月23日、文化観光高付加価値化リサーチワークショップ 豊岡・鳥取在住者×きゅうかくうしお「醸しだされる地域の文化をさぐる」(*1)の様子 photo by Daichi Asakura
制作の村松さんと会ってすぐ『今回のワークは出来るだけ現地の人と話すことがいいじゃない』と提案したのが記憶に残る。
そうでなければどこでやっても一緒じゃないかと、
ただ場所を提供してもらうということはどこでも出来るんじゃないかと、、
城崎ではきゅうかくうしおは個々にリサーチするという事をやってみることに。
作品を作る上で私と森山氏が言ったことをただ受け入れて行ってもらうことに面白みを感じない。
きゅうかくうしおの始まりは私自身と森山氏との間にある不毛な摩擦を解消すべく、表に打ち出すという表現への探求であり、個々に思う事はあるが二人が互いに社会に対しての反骨精神やその時の思想などを作品に込めるという単純なものをいかにパフォーマンスに落とし込むか、であった。
『素晴らしい偶然をちらして』2019 photo by 菅原康太
現在のきゅうかくうしおメンバーは第2回公演の舞台スタッフがメンバーの大半を占め、月日が経ちメンバーが増えていった。
僕らの現段階での理想は、舞台監督、照明、制作、広報、衣装、映像などスタッフと呼ばれるメンバーとそれぞれに意見を出し合うこと。
個々の意見というものに時代と共にシフトしていき、トップダウンというかたちでもなく、多数決の意味合いなどをzoomで論議したのがちょうどコロナ禍の中。
自分の意見はメンバーの中で一つの意見に過ぎない、と考えた時にどのようにきゅうかくうしおを進めていくことが出来るのかと。
2019年~2020年のクリエーション風景
そこでは、誰が引っ張っていくのかという問題も発生してしまう。
心の支柱的なものは私と森山氏が引率している事実はあると思うが、みんなとの関係を平等に持っていったこともあり、少し弱さを感じるところもある。だがこれを望んだのも事実である。
多数決で多数の意見を尊重するという実験をやってみたり、マイノリティーの意見を無視するのはおかしいなどとメンバー内で論議をしていく中で小さな社会が形成されていった。
この状況に、今の社会で課題とされている多様性を感じる。
現代は、SNSで個人が自由に発言できるようになり、マイノリティーな発言もクローズアップされ多様性を認識し合える社会、、
きゅうかくうしお内でも同じく誰一人の意見も溢さず前に進む事が可能なのかどうか、、、
photo by bozzo
そして今はパフォーマンスも終わり、城崎でのクリエーションを回想している。
この回想には続きがある。
しかしそれは、この作品を実演する機会を得た時に、観る人へパフォーマンスを通して伝えたい。
きゅうかくうしおやこの作品が気になった方は、僕らのサイトやSNSをチェックしてほしい。
きゅうかくうしお 公式WEBサイト
きゅうかくうしお Youtube
きゅうかくうしお Instagram
きゅうかくうしお Twitter
*1=この日の交流の様子は、きゅうかくうしおWEBサイトのこちらのページに詳細なレポートが掲載されています。
東京とは違う時間の流れのなか何が出来るのだろうかと、ここに来るまでの道のりが自分にどう影響を及ぼすかを感じながら、想像しながら、創作過程に入る。
またここまでの距離というものが時間がかかればかかるほど、何か大きなものを掴みたいと願うもの。
ちょうど私は舞台「千と千尋の神隠し」のリハーサルの合間にこのレジデンスに参加していて、他のメンバーとは一日遅れて城崎に入った。初日、みんなは現地の人と交流をしていたらしい。
2022年1月23日、文化観光高付加価値化リサーチワークショップ 豊岡・鳥取在住者×きゅうかくうしお「醸しだされる地域の文化をさぐる」(*1)の様子 photo by Daichi Asakura
制作の村松さんと会ってすぐ『今回のワークは出来るだけ現地の人と話すことがいいじゃない』と提案したのが記憶に残る。
そうでなければどこでやっても一緒じゃないかと、
ただ場所を提供してもらうということはどこでも出来るんじゃないかと、、
城崎ではきゅうかくうしおは個々にリサーチするという事をやってみることに。
作品を作る上で私と森山氏が言ったことをただ受け入れて行ってもらうことに面白みを感じない。
きゅうかくうしおの始まりは私自身と森山氏との間にある不毛な摩擦を解消すべく、表に打ち出すという表現への探求であり、個々に思う事はあるが二人が互いに社会に対しての反骨精神やその時の思想などを作品に込めるという単純なものをいかにパフォーマンスに落とし込むか、であった。
『素晴らしい偶然をちらして』2019 photo by 菅原康太
現在のきゅうかくうしおメンバーは第2回公演の舞台スタッフがメンバーの大半を占め、月日が経ちメンバーが増えていった。
僕らの現段階での理想は、舞台監督、照明、制作、広報、衣装、映像などスタッフと呼ばれるメンバーとそれぞれに意見を出し合うこと。
個々の意見というものに時代と共にシフトしていき、トップダウンというかたちでもなく、多数決の意味合いなどをzoomで論議したのがちょうどコロナ禍の中。
自分の意見はメンバーの中で一つの意見に過ぎない、と考えた時にどのようにきゅうかくうしおを進めていくことが出来るのかと。
2019年~2020年のクリエーション風景
そこでは、誰が引っ張っていくのかという問題も発生してしまう。
心の支柱的なものは私と森山氏が引率している事実はあると思うが、みんなとの関係を平等に持っていったこともあり、少し弱さを感じるところもある。だがこれを望んだのも事実である。
多数決で多数の意見を尊重するという実験をやってみたり、マイノリティーの意見を無視するのはおかしいなどとメンバー内で論議をしていく中で小さな社会が形成されていった。
この状況に、今の社会で課題とされている多様性を感じる。
現代は、SNSで個人が自由に発言できるようになり、マイノリティーな発言もクローズアップされ多様性を認識し合える社会、、
きゅうかくうしお内でも同じく誰一人の意見も溢さず前に進む事が可能なのかどうか、、、
そして今はパフォーマンスも終わり、城崎でのクリエーションを回想している。
この回想には続きがある。
しかしそれは、この作品を実演する機会を得た時に、観る人へパフォーマンスを通して伝えたい。
きゅうかくうしおやこの作品が気になった方は、僕らのサイトやSNSをチェックしてほしい。
きゅうかくうしお 公式WEBサイト
きゅうかくうしお Youtube
きゅうかくうしお Instagram
きゅうかくうしお Twitter
*1=この日の交流の様子は、きゅうかくうしおWEBサイトのこちらのページに詳細なレポートが掲載されています。
きゅうかくうしお 辻󠄀本知彦/踊り子
大阪府吹田市生まれ。18歳よりダンスをはじめ、2007年にはシルク・ドゥ・ソレイユに日本人男性初のダンサーとして起用され、同年「GALA FIAT PRESENTS」に出演、2011年からは「Michael Jackson The Immortal World Tour」に参加し、27カ国485公演に出演する。
NHK2020応援ソング「パプリカ」の振付を菅原小春と共作、また、Sia「Alive」日本版ミュージックビデオ(MV)での土屋太鳳への振付、米津玄師「感電」、MISIA「Higher Love」、2025年大阪・関西万博テーマソング、コブクロの「この地球の続きを」の振付を担当。CM「ポカリスエット」、「UQモバイル」など、多岐にわたって活動する。
TBS系「情熱大陸」、NHK Eテレ「SWITCHインタビュー 達人達」出演。
https://www.tsujimoto.dance/