インタビュー

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2015年4月27日

ダニエル・レヴェイエ 『Solitudes』滞在制作@城崎 インタビュー

ダニエル・レヴェイエ 【Daniel Léveillé danse】

2015年3月30日から4月12日まで滞在したカナダの振付家ダニエル・レヴェイエさんと制作のマリアンドレさんに、今回城崎でクリエーションした作品のこと、まちの印象などを伺った。

インタビュー日時:2015年4月12日

場所: 城崎国際アートセンター(以下、KIAC)
インタビュアー:吉田雄一郎(KIACプログラム・ディレクター) /通訳: 儀保桜子

 

写真右:ダニエル・レヴェイエ (Daniel Léveillé danse主宰)

写真右:マリアンドレ・グージョン (Daniel Léveillé danse制作)

 

―城崎で制作過程や達成できたこと、今後のご予定をお聞かせください。

ダニエル:この作品(『Solitudes』)は5月21日からカナダのモントリオールで開催されるFestival TransAmériquesという国際芸術祭に参加する予定の作品です。城崎に来る前にフランスのリヨンで2週間滞在制作していた時は、主に照明を調整していたのですが、ここ城崎ではダンサーとのつながりを深めることに集中しました。これまでカナダでは日本人をはじめ、多くの方が私の作品を観ましたが、なにせダンサーが裸なので、日本での公演は実現できませんでした。今回の城崎滞在が日本に来る初めての機会となりました。この滞在制作がきっかけで、今後も東京や大阪など、他の地域でも公演できるようになればいいと思っています。

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―城崎でのクリエーションは順調に進みましたか?

ダニエル:はい、作品は概ね完成しました。城崎の後にモントリオールに戻り、またヨーロッパに行って一週間だけ制作し、フェスティバルを迎えます。このフェスティバルは大規模で大変重要なものなので、作品は熟成されてなくてはいけません。ですので、ここまでクリエーションを進められてよかったです。

―昨日(4月11日)の滞在制作の成果発表会はいかがでしたか?

ダニエル:城崎の観客の方たちの作品の受け取り方が、世界のどことも違うということを感じられたのが面白かったです。勿論、他の場所、フランス、ドイツやアメリカなど、国によって反応は異なります。アメリカの中西部では特に大変でした…。ここでは観客からの敬意をすごく感じました。作品を鑑賞している時の深い静寂。5,6人子どもたちがいたと思いますが、彼らでさえすごく静かで驚きました。一体何をしているのかもよくわからないだろうに。ただ、この作品は言葉ではないので、解釈は観る人に開かれていますが。

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―作品のコンセプトや構成について教えてください。

ダニエル:前作(『孤独・ソロ』)は7,8つのソロで構成されていました。本作はデュエットだけのものを考えています。城崎ではこの二つを組み合わせて、どのような効果が出るか試してみたかったのです。ですから、昨日のショーイングでお見せした作品は城崎バージョンの『Solitudes』です。

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私はビジュアルアーティストのように作品を制作します。例えば絵描きのように何度も何度も繰り返し同じテーマを描き、ドローイングのシリーズを創ります。例えば2人ずつダンサーを配置して、その関係性を描きます。1人が2人になると、異なる関係性が生まれるというように、絵を描くことと同じボキャブラリーを使っているのです。音楽を入れることもその1つで、その要素がまた見え方を変えてくれたりもします。これは、クリエーションという活動自体と深くつながっていると思います。例えば抽象画家のジャクソン・ポロックは絵の具を飛ばして描いたりしますが、私の場合、絵の具ではなく人間の体を構成している全てのものを使って描いているわけです。コンセプトは抽象的ですが、人間の体を使っているので、見え方としては抽象的ではありません。その違いが観客に何か別の印象を残すのだと思います。この作品は視覚的であり、抽象的であり、技術的にダンサーにとって非常に難しいものを要求します。城崎はその点素晴らしいですね。毎日稽古で酷使した筋肉を温泉で癒すことができるのですから。

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―城崎というまちでの滞在はいかがでしたか?何かエピソードなどあれば教えてください。

マリアンドレ:そうですね、私は城崎の静かなところ、空気や水がきれいなところが気に入りました。でも、なんていうか、私たちフランス語で話しているグループが、ここにポンときてワオ!何が何だかわからない、という状況そのものがユニークだったと思います。

ダニエル:例えば些細なこと、家や道や植物や現地の人の会話、くねくねした街の作り方、何もかもが全然違うわけです。ダンサーたちはもう目を丸くしていました。15分ごとに新しいユニークな体験をしていたと思います。それに何故か、ダンサーたちは世界中のどこよりも日本に来たがっていました。彼らを連れて来られてよかったです。もちろん、私も日本に来ることを望んでいました。ただ仕事で来ていたので、色々見に行きたかったのですが、あまり行けなかったですね。でも仕事が終わった後に城崎の町を歩くだけでも十分楽しかったです。

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―どういう経緯でKIACに滞在することになりましたか?

ダニエル:私としては、先に言ったように、ここが初めて私たちに開かれた日本への扉だったからです。加えて、重要なフェスティバルでの公演の直前という事もあり、タイミングも良かったです。マリアンドレはもっと何か知っているんじゃないかな。

マリアンドレ:幸運でしたね。2014年に横浜でTPAMに参加していたのですが、その時に偶然テーブルに置かれたKIACのチラシを見つけたのです。「おお、これは面白そうだ」と思って。応募できるかどうかの連絡を取りました。それでこのプロジェクトが受理されたと知らされ、JCDNの佐東範一さん(当館アドバイザー)など、知っている方がKIACに関わっていることも知りました。ご縁があり、流れができてきました。そういうこともあって、この滞在に積極的でした。

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―最後にKIACという施設についての感想をお願いします。

ダニエル:ファンタスティックだと思います。世界にもこのような施設はあまりないでしょう。多くのアーティストにとって、日常を離れて集中できる環境は貴重なものです。
大きなグループの団体が滞在できる規模も魅力的です。私たちは若手のアーティストのサポートもしているのですが、1人2人の少人数でも彼らを連れて、またここに応募するかもしれません。他のアーティストが来ていても一緒に滞在できるかもしれないですね。元々は異なる用途の建物だったと聞いていますが、こういったアートのレジデンス施設に作り替えたのは大変素晴らしい事だと思います。

―ありがとうございました。

ダニエルマリアンドレ:ありがとうございました。

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参考
Festival TransAmériques ダニエル・レヴェイエ紹介ページ
http://www.fta.qc.ca/en/shows/2015/solitudes-duo

Daniel Léveillé danse カンパニーウェブサイト

http://www.danielleveilledanse.org/en/accueil

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