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2019年10月28日

『shuffleyamamba』出演者インタビュー【砂山典子】

2019年10月5日(土)、6日(日)に出石永楽館にて世界初演を行った『shuffleyamamba』。
クリエーション中に出演者ひとりひとりに行ったインタビューを公開します。
5人目は、砂山典子さん。

【山姥になりたかった】

―― 今回の作品に参加されることになったきっかけや経緯も教えていただけますか。

砂山:余越保子さんに出会ったのが、確か5,6年前。私が「黒沢美香&ダンサーズ」というダンスカンパニーに入っており、美香さんから保子さんを紹介していただきました。その後私のバーレスクダンス(*1)を保子さんが見に来てくださって。彼女が私のショウにすごく素敵な感想を送ってくれました。私も保子さんの今までの作品を見て、メールでのやり取りがあり、その中で『shuffleyamamba』の母体となった『SHUFFLE』の映像を送っていただいたのが、きっかけだと思います。出演依頼が来た頃は、初めて組む演出家にとても期待し、自分の領域を超えたいという欲望が強くあったので、参加させていただきました。

山姥になりたい、というのも、きっかけでした。『shuffleyamamba』というタイトルもいいなと思いました。

―― 山姥になりたいというのは……。

砂山:最初は、山姥と聞いたら鬼的なものを想像しました。自分の中に無慈悲で冷酷な鬼の存在も感じます。この鬼的なものと菩薩的なものと表裏一体だと思うのです。手の平を返すように、人は変わる。と常々、思っています。私の中のイメージとしての山姥は、超自然とか、人智を超えた何か。もしその山姥になれたら、エゴが消えるというか、空気の中に溶け込めるんじゃないか。知らない領域に行きたかったし、山姥と聞いたときに「そこへ連れて行ってください」と思いました。

私は長年、「dumb type」(*2)というグループのメンバーで、10年ほど間が空いて最近また新作に取り組んでいます。今回20歳も下の若いテクニカルメンバーたちと一緒にやることになりました。世代も違う、持っている技術も違うメンバーとエクスチェンジできるのは、また「山姥度が上がる」ということかもしれません。
知らないものに触れることで、ビヨンドしたいと思っていて、『shuffleyamamba』だったらそれができると思ったんですね。それが一番大きいかな。(余越)保子さんの直観力に、引っ張られました。
【お客様との真剣勝負】

―― 作品全体を通して女性性やセクシュアリティを象徴する振りがあると思うのですが、そのテーマに対して、どういう心持で取り組まれたのか、教えていただけますか。

砂山:私の存在が影響している場面も、いくつかあるかと思います。

私のソロワークの一つに『むせかえる世界』というインスタレーションがあります。真っ赤な20mの長いドレスを着た私は、生きている彫刻のように椅子に長時間座っていて、スカートの中にお客さんを誘う、という作品です。スカートの下は普通にパンティを履いています。この作品をパリで展示する時に、スカートの下に履くパンティを買うためにパリのサン・ドニ歓楽街を訪れました。その通りで、ピープショー(*2)という店を発見し、好奇心旺盛な私は友達と一緒に入り、1日だけバイトすることになりました。その時に得た経験や感動を、保子さんに伝えたのです。それにビビッと来たみたいで。その経験を作品の中で使うと言われた時は、ためらいました。保子さんと何度も「どういう風に扱うのか」話し合いました。

―― そこはどうやって折り合いをつけましたか。

砂山:保子さんが最近書いた「シャッフルヤマンバ辞典」を読んで、これは作品にとって大事なことなんだと納得しました。

お客様に見せるという意味ではコンテンポラリーダンスもセックスワークも考え方は一緒じゃないか。舞台に立っているときは真剣勝負。

 

【お客様を踊らせるのが私の役目】

―― 最後に、皆さんにお伺いしているのですが、砂山さんは、何故踊り続けるのでしょうか。

砂山:すごい質問出てきた(笑)。

「まだ踊るぞ」って感じですけどね。私が20代前半に習っていたジャズダンスの先生が、素晴らしくスタイルもよく、格好良かったのです。その先生は今70歳なんですが、久しぶりにスタジオを訪れたらまだまだ踊って、教えて、公演も打っていて。私より腹筋もあるし足が上がってて……まさに山姥が、そこにいたんです。

黒沢美香さんも、惜しくも60歳前に亡くなってしまいましたが、彼女のダンサーとしての生きざまも、妄執の塊っていうか、山姥でした。その先輩たちを見ていたら、まだまだ踊ってないなと。もうアカンかなってヘコタレそうになりますが、あんまり考えないようにしています。

あとは、お客様の存在はすごく大きい。お客様を躍らせるのが、私の役目かなと思っています。90年代ゲイクラブパーティで育ってきましたが、興が乗ってくると盛り上げ隊長になってグングン即興で踊り、周辺に佇んでいる人を巻き込んでいきます。私を見て笑ってくれたり、客とエクスチェンジできることが喜びになります。それを実感すると「私は踊る人やねん」って思うんです。お客様とのバイブレーションの中で踊ることに対しては、使命感みたいなものがあります。
今回の作品の中では「女の体は、いや男の体も、裸は、こんなに素晴らしいのだ」「ハッピーなのだ」ということを、届けられたらいいなと思っています。タブー視されがちなことも出てくるかと思いますが、「何がタブーなんだろう?」と考えるきっかけになればとも思います。

私は出演者全員が、いろいろな山姥だと思っていて。保子さんもゲルシーも。そのシーンごとにいろんな山姥がシャッフルされて、イメージが表れてきていると思う。全員が『SHUFFLE』。お客さんも『SHUFFLE』して、作品を通じて様々な想いや視点に、入ったり出たりできる作品だと思います。


(*1)ヌードダンス。真っ裸ではなく露出度は高いが裸を飾り立てる。バーレスクはダイレクトな性表現ではなく「焦らす」という行為が重要視される成熟した大人のエンターテイメント。世情を反映した風刺とユーモアがある。
(*2)京都市立芸術大学の学生を中心に1984年に結成したアーティストグループ
(*3)のぞき部屋

 

(聞き手:インターン笠田優奈・立花実咲・和田奈那美/編集:インターン立花実咲&KIAC)

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