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アートディレクション&デザイン:山口良太(slowcamp)、イラスト:大津萌乃

芸術監督からのメッセージ

2026年度も世界中からアーティストがKIACに集まり、作品をつくります。ここは完成ではなく「創作の途中」に立ち会う場所です。アーティストもスタッフも、わからないことや失敗することを受け入れながら、新しい価値を見つけようとしています。日々の生活では、わかりやすさや「役に立つこと」が求められる場面が多いかもしれません。けれど、それだけでは少し息苦しい。
KIACに来て、同じ空間にいる人のパフォーマンスを眺めたり、その場の会話をただ聞いたり、そこからあなたが感じることに、正解も不正解もありません。小さな気づきでも、大きな驚きでも、あなたの生活を少し豊かにするものになると私たちは信じています。ウェブサイトで情報をご覧いただき、気になるものがあれば、どうぞ気軽にイベントに参加してみてください。

市原佐都子
劇作家・演出家・小説家・城崎国際アートセンター芸術監督

トビラを開く。セカイも開く。

KIACとは、「未知の世界へ通じるトビラ/身近な日常を眺めるマド」のようなもの。
滞在アーティストたちとの交流や作品鑑賞を通して、来場者自身が、「今までよく知らなかった世界」と出会ったり、「身近で当たり前だと思っていた日常」を再発見する場所です。

KIACには一年を通して、世界各地からダンス、演劇、パフォーマンス、アートプロジェクトなど、さまざまな芸術活動を行うアーティストたちがやってきます。アーティストたちは、KIACに一定期間滞在しながら、リサーチやクリエーションなどの創作活動、まちの人々との交流を行っています。
アーティストたちは、さまざまなテーマや関心を抱えて、豊岡にやってきます。

—最近の地球温暖化って本当に大丈夫なの?
—豊岡にはどんな伝統行事や風習が残っているのかな?
—どんな人と出会えるんだろう?
—世界各地で起こっている紛争や戦争が心配…
—最近の子どもたちは、どんなことに関心があるんだろう?
—いまアートは社会に対して何ができるんだろう?


それぞれ独自の発想や視点を持つアーティストたちの活動に触れ、その考えや視点を介して眺めてみることで、もしかしたら世界や日常は、今までとは少し違って見えてくるかもしれません。
ぜひ、トビラを開けて入ってみてください。



#自然・環境・場所について考えを巡らせてみる

土地や風景、環境。身近な世界をあらためて眺めることで見えてくるものとは?


ザイ・タン
SYN

滞在日程:2026年4月3日(金)〜5月13日(水)
拠点:シンガポール
野生動物や昆虫の鳴き声に耳を傾けてみると——
生態系危機の時代、「聴くこと」を通して人と自然の新たな繋がりをひらく、音と映像のパフォーマンス。

高瀬川モニタリング部
高瀬川モニタリング部 大合宿〜大谿川編〜

滞在日程:2026年6月26日(金)〜8月8日(土)
拠点:日本
イモリ?カニ?コウノトリ? 城崎・大谿川に棲む未知の生き物を探して…
川を観察する「部員」たちは、どこへ流れ着くのか?

ツールボックス・パーカッション
Shizuku(雫)

滞在日程:2027年3月1日(金)〜3月22日(月)
拠点:香港
世界各地でさまざまなコミュニティと協働してきた香港発の打楽器アート・コレクティブが城崎へ!
人と水の関わりをテーマに、「共存共栄」の精神が息づく温泉街で、自然との共存のあり方に耳をすます。


#音楽とパフォーマンスの新しい表現を楽しむ

個人・集団・社会。身体と音楽が交差することで生まれるパフォーマンスとは?


山/完全版
山の世界制作の方法

滞在日程:2026年6月7日(日)〜6月22日(月)
拠点:日本
迷路をくぐって、ライブに参加しよう!
うずまく音楽・身体・レーザー照明、芸術と抵抗。うっかりお猿のユーモアにのせられ踊っていると、鋭い爪にズシッとやられ、気づけばそこに——山そびえ立つ。

加藤綾子+岩田奈津季
スケール・システム

滞在日程:2026年7月20日(月)〜8月2日(日)
拠点:日本
音大首席卒のヴァイオリニストが、ダンスアーティストと共に日本のクラシック音楽演奏家の存在に新たな視座で切り込む。
演奏家の「透明な身体」をめぐる連作は「肉」「皮」ときて、今回は「骨」?

バストリオ
音楽演劇『ワン・プラス・ワン』

滞在日程:2026年10月14日(水)〜10月25日(日)
拠点:日本
音・光・身体・言葉・道具・映像…さまざまなメディアによって立ち上がる断片的なシーンの数々。今を生きるいのちを描き、独自のグルーブを生み出す「音楽演劇」!


#誰かの個人的な記憶や経験を通して世界と繋がる

多様な背景を持つアーティストの記憶や経験から浮かび上がる、世界との関係とは?


ナスタラン・ラザヴィ・ホラーサーニ
Archive

滞在日程:2026年7月1日(水)〜7月14日(火)
拠点:オランダ
故郷を離れ「孤児」となり、オランダで母になった私は、イラン映画と女優たちの中に、故郷に残ったもう1人の「私」の人生を見る。
イランのこと、もっと知りたくなった。

リサ・マリコ・ゲリー
Oceans(仮)

滞在日程:2026年8月12日(水)〜8月31日(月)
拠点:カナダ
祖母から受け継いだ、海を渡った祖先の記憶——
日本にルーツを持つカナダの振付家による、お盆をめぐるリサーチプロジェクト。豊岡各地の盆踊りで会いましょう!

メイ・リウ
MY BODY IS A RESONANCE CHAMBER

滞在日程:2027年1月6日(水)〜2月20日(土)
拠点:オランダ
上海出身、アムステルダム拠点の新進気鋭のパフォーマンスメーカーが、混迷の時代を生き抜くための感受性を呼び覚ます。
連帯・抵抗・ケアのための〈共鳴空間〉として、身体を再想像/創造する。


#現代のこども達の表現活動に触れる

現代を生きる子どもたちの声に耳を澄ますことで浮かび上がる、世界の姿とは?


ミカエル・モーリッセン+とことこダンサーズ
わたしたちのかけら

滞在日程:2026年5月14日(木)〜6月4日(木)
拠点:ドイツ+日本
結成8年目!城崎温泉発こどもダンスカンパニーの小学生とその卒業生たちが、ドイツ拠点の映像作家と温泉街でダンス映像の撮影に挑戦!


#生身の身体が生み出すパフォーマンスを体験する

個人と集団。生身の身体が出会うとき、そこに立ち上がる時間と空間とは?


ダニエル・コック+ルーク・ジョージ
Line of Thought

滞在日程:2026年11月8日(日)〜12月6日(日)
拠点:シンガポール+オーストラリア
信頼とサポートのシステムを編み上げる!
世界各地で賞賛と挑発を巻き起こした、緊縛パフォーマンス・インスタレーションの最新作。

ランド・ビフォア・タイム
Yaltari

滞在日程:2027年2月8日(月)〜2月26日(金)
拠点:スウェーデン
ヨーロッパの若手振付家発掘企画で「2025年の20組」に選出!
スウェーデン発、ストリートダンスと即興をベースにした身体感覚を拡張するパフォーマンス。
屋外での上演も!



プログラム決定のプロセス


【公募プログラム】
■公募プログラムの選考について
2025年5月10日(土)~6月27日(金)の期間で募集を行い、26か国から91件の応募がありました。8月に選考会を開催し、各アーティストへのヒアリングと日程調整を経て、11件のプロジェクトを採択することを決定しました。

■選考委員
「2026年度 アーティスト・イン・レジデンス プログラム」選考委員

市原佐都子(城崎国際アートセンター芸術監督、劇作家、演出家、小説家、Q主宰)※選考委員長
志賀玲子(城崎国際アートセンター 館長)
吉田雄一郎(城崎国際アートセンター プログラムディレクター)
橋本麻希(城崎国際アートセンター 地域コーディネーター)

■選考基準
【社会への応答】私たちが生きる現在の社会や環境に対して、芸術活動を通して何らかの応答がなされているか
【批評的創造性】既存の価値や常識を批評的にとらえ、芸術面においてそれらを更新する可能性を有しているか
【交流の創出】滞在前・中・後に採択プロジェクトを通して、新たな交流を生み出す意志や可能性を有しているか

■選考会と日程調整
選考会では、上記の選考基準にもとづき、各選考委員が、「採択すべき」「議論すべき」と考えるアーティスト・プロジェクトを事前に選出し、その評価をもとに全員で議論を重ねました。
その中で、まず全体で高い評価を得たアーティスト・プロジェクトを採択候補として選出しました。次に、ラインナップ全体の分野や国籍、内容などのバランスを考慮し、選考基準に合致すると思われるアーティスト・プロジェクトを採択候補に加え、最終的に11組の採択候補者を選出しました。
選考会終了後、提携プログラムと公募プログラムの採択候補アーティストの希望する滞在日程を調整するという、実務的なすり合わせを行い、最終的に11組のアーティスト・プロジェクトを「公募プログラム」として採択することを決定しました。

【公募以外のプログラム】
公募プログラム以外では、以下のプログラムを予定しています。
■提携プログラム
ヨーロッパの若手振付家を支援するネットワークAerowavesと、ヨコハマダンスコレクション、城崎国際アートセンターによる連携プログラム。
ランド・ビフォア・タイム
Yaltari


■その他のプログラム
・芸術文化観光専門職大学の実習の受け入れ
・豊岡市近郊で開催される舞台芸術祭「豊岡演劇祭2026」のプログラム

以上12組のアーティスト・プロジェクトによるレジデンスプログラムと、それらに関連するプログラムを実施します。
来年度も城崎国際アートセンターの活動にご注目ください。

2026年3月20日
城崎国際アートセンター